シルクスクリーン記録

版画の技法のひとつ、孔版印刷のシルクスクリーン講習記録です。
場所:須坂版画美術館 / 講師:美術家 島 州一 先生
2日間計10時間 2色刷り / 完成サイズ A4


工程を忘れないように、制作中エプロンからスマホを取り出し黙々と写真を撮ってきた。
これでまた出来るはず!(他にも方法があればぜひ教えてください。)


 

1.下絵を用意 (今回下絵はA5サイズ程度)

今回私は線を描くのではなく色紙を構成して下絵にしました。
他の受講生はお孫さんの手描きの絵、切り絵、葉脈のコピー、銅版画風のイラスト(布をコピー機でモノクロにしたものに後から描き足す)、絵本の挿絵のような絵など、人によって様々でした。

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2.フィルムに筆やペンで下絵を書き写す (2色刷りなので2枚作成する)

・シルクスクリーン専用フィルム、オペーク液、オペークペン

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オペークペン:遮光性の修正剤、これで描いた部分は光を通さない=シルクスクリーンでは穴があく=塗料がのる箇所

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はみださすと、あとでそこもインクがつくことになるので慎重に写していく。細かいところは筆のほうが塗りやすい。
広い面を塗る場合はカットして貼るフィルムタイプのマスキングシートがあるようです。

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はみだした場合、アルコールを染み込ませた綿棒ではみ出した部分をそっと触るようにして拭き取る。広がる可能性もあるので少しずつ。

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1色目(青色)のフィルムが完成。同様に2色目のフィルムも作る。

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3.スクリーンが貼られた木枠に感光剤を塗る。

ジアゾ感光乳剤:島先生と学芸員の方が作ってくれました。(感光剤粉末を温水で溶き、乳剤と混合し、木の棒でよく撹拌して黄色の感光乳剤を作る)専用のステンレス製のトレーに入れる。

版の下側から、このトレーを斜め45°に当て感光剤が版に付いたら、角度を維持したまま上まで持ち上げます。感光剤が均一に版に付くのが大切。

感光剤が厚く付いてしまうと、後に図柄通りにスクリーンに穴が開かずやり直しになったりする。

※写真は島先生の解説時の様子。

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4.感光剤を乾燥させる (ドライヤーを使うと早い)

※写真は島先生の解説時の様子。自分でやってみるとこのように感光剤を均一に塗るのは難しかった。。。

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5. 感光露光器で焼き付ける

・露光器の上にフイルム(絵柄を上に)+スクリーン(感光剤を塗った面が下に)+スクリーンの枠内に光が漏れないよう黒い紙を敷く+重しに厚い本+大きいスポンジ+木の蓋

・露光時間:3分半(時間はその時々で調整が必要)タイマーで

※写真は島先生の解説時の様子。

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6.焼き付けたら版を水道水で洗う。

・しばらく水をかけているとするするっと図柄の部分の感光剤が取れて孔があく。
・絵柄の孔がきれいにできたら版を乾燥させる。急ぐ時はドライヤーをあてる。

はじめての版ができた!!!単調な図のせいかすんなり出来て嬉しい。

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7. 刷りの下準備 ここを丁寧にするとあとが楽。

・木枠のサイズに合わせて机の角を利用し、4箇所にクランプ(留め具)を付ける。
・刷る用紙の位置を決めるために下書きの絵を置き、乾いた版を乗せて位置を決める。

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・位置が決まったら小さい台形の紙を3箇所両面テープで付けておく。

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・版の下側に5mmほどの厚みの紙を四隅に両面テープで貼る。=高さが出てきれいにインクが付く。これでセット完了!

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8.インクの準備

使用したい色がなければ何色か混ぜて、少しずつ水で薄める。ヘラで持ち上げるとトロッと落ちるくらい。ヨーグルトの少し固めくらい。

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9.いよいよ刷ります!

・刷りたい紙をセットしておく。
・刷る用にセットした場所の横で、まず版の上部にヘラでインクを一列に乗せ、スキージ(固いゴムのヘラ)で一往復して版にインクを付けておく。
・版を紙の上に置いてゆっくり力を入れて一定に上から下へ一度スキージを動かす=インクが紙に付く。思った以上に強い力で押す感じだった。

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インクがちゃんと落ちてる!

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あとはどんどん刷っていきます!私は布のバッグやポストカードなども持参し、複製を堪能する。

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バッグなど布の生地に刷るときはシワをアイロンで取っておいた方がいい…割れちゃう。

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10. 2色刷りなので、もう1色分3〜9の工程を繰り返します。

青色用の版が完成。ここから2色目の青を刷ります。

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色が重なるとまだ一段ぐっとテンションが上がります。

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ポストカードはあえて毎回置く位置を変えて、いろんなパターンを作ってみました。
そういうことができるのも面白い。

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これで完成です。タイトルは「radio」ラジオの印象と英単語からイメージしました。

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紙や布に全て縦向きに刷った後、もともと横位置が正面だった事を思い出しました。(!!!!呆然)結構大事なとこをミスったにも関わらず、達成感を味わえる技法でした。講習でお世話になった皆さまありがとうございました。


美術家 島 州一 先生について

島先生の作品は、存在と残像、平面と立体、人為と自然、いろんな境界が自由に同居していて、コンセプトを聞くだけでも想像力がめきめき引っ張られる感じでした。本当にかっこいい。
近年のTracing-Shirtシリーズも浅間山をトレースするという壮大なくわだてに興奮。作品が欲しい。



シルクスクリーンの感想

はじめは複製できるスマートな技法という印象があったけど、原画から刷るまでの過程で仕上がりを自分好みに調整する箇所があったり、人それぞれ作品の趣きが異なり、あらためて絵画手法でもあるんだなと思いました。

イラストの授業でも版画の技法として出来たらいいな。